介護分野は「試験・事業所の人数枠・協議会」の3点を先に確認する

特定技能「介護」は、身体介護などの業務に、一定の技能と日本語能力を持つ外国人を受け入れる制度です。採用を検討するときは、次の点を先に確認しておくとスムーズです。

  • 外国人に必要な試験:介護の技能試験と介護の日本語試験に加えて、一般的な日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験N4以上)に合格している必要があります。介護職種の技能実習2号を良好に修了した人などは免除されます。
  • 受入れる事業所:介護福祉士国家試験の受験資格で「実務経験」として認められる業務を行う事業所である必要があります。
  • 人数枠:1号の外国人の人数は、事業所ごとに、日本人などの常勤の介護職員の総数を超えることはできません。
  • 協議会への加入:在留資格の申請の前に、厚生労働省が設置する協議会に入会する必要があります。
  • 訪問系サービス:2025年4月21日から、条件を満たせば訪問系サービスにも従事できるようになりました。
  • 2号はない:介護分野には特定技能2号がありません。長く働いてもらうには、介護福祉士の国家試験に合格して在留資格「介護」に変更する道があります。

(出典:出入国在留管理庁・厚生労働省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-介護分野の基準について-」、厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)

任せられる業務

1号の外国人が従事するのは、身体介護等の業務です。身体介護等とは、利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつ、整容・衣服着脱、移動の介助などをいいます。あわせて、レクリエーションの実施や機能訓練の補助など、これに付随する支援業務にも従事できます。

また、同じ業務に従事する日本人が通常行う関連業務(お知らせなどの掲示物の管理、物品の補充や管理など)に付随的に従事することも差し支えありません。ただし、関連業務だけに専ら従事させることは認められません(出典:運用要領別冊(介護分野))。

外国人に必要な試験と、免除される人

試験に合格して働く場合

1号の外国人として介護分野で働くには、次の3つに合格する必要があります。

区分 試験 内容(厚生労働省ページより)
介護の技能 介護特定技能評価試験(技能) 45問・60分(学科40問・実技5問)。2026年4月1日から、60%以上の正答で合格
介護の日本語 介護特定技能評価試験(日本語) 15問・30分。73%以上の正答で合格
一般的な日本語 国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験(N4以上) -

試験はコンピューターで受験する方式(CBT)で、受験料はそれぞれ約2,000円です。受験できるのは17歳以上(インドネシア国籍の人は18歳以上)です。なお、運用要領では、技能の試験を「介護技能評価試験」、介護の日本語の試験を「介護日本語評価試験」と表記しています(出典:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」、運用要領別冊(介護分野))。

試験が免除される人

対象 免除される試験
介護職種の技能実習2号を良好に修了した人 3つの試験すべて
介護福祉士養成施設を修了した人 3つの試験すべて
EPA介護福祉士候補者として4年間の在留期間を満了した人(直近の介護福祉士国家試験で一定の得点がある人) 3つの試験すべて
介護職種以外の技能実習2号を良好に修了した人 一般的な日本語の試験のみ(介護の日本語の試験は免除されない)

出典:運用要領別冊(介護分野)

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受入れ事業所の要件

対象となる事業所

1号の外国人を受け入れる事業所は、介護福祉士国家試験の受験資格の認定で、実務経験として認められる介護等の業務を行わせることができる事業所でなければなりません。対象となる施設の種類は、厚生労働省が資料「介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について」で示しています(出典:運用要領別冊(介護分野)、厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)。

事業所ごとの人数枠

1号の外国人の人数は、事業所単位で、日本人等の常勤の介護職員の総数を超えることはできません。

  • 「日本人等」には、介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士や、在留資格「介護」の人などが含まれます。
  • 技能実習生、EPA介護福祉士候補者、留学生は「日本人等」に含まれません。
  • 「介護職員」は、介護等を主たる業務として行う常勤職員を指します。事務職員や、看護業務を行う看護師・准看護師は含まれません。

(出典:運用要領別冊(介護分野))

協議会への加入

介護分野で1号の外国人を受け入れる法人は、在留資格の申請の前に「介護分野における特定技能・育成就労協議会」に入会し、入会証明書を受ける必要があります。厚生労働省のページでは、次のように案内されています(出典:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)。

  • 入会費・年会費は無料
  • 申請システムで入会を申請し、証明書は通常2週間程度で発行
  • 証明書の有効期間は、初回1年、更新後4年(有効期限の4か月前から更新手続きが可能)
  • 受け入れてから4か月以内に、外国人の情報を登録する
  • 証明書に登録していない事業所で受け入れる場合(働いている外国人の事業所の異動を含む)は、事前に事業所の情報を申請する

訪問系サービスに従事させる場合

2025年4月21日の告示などの改正により、一定の条件のもとで、1号の外国人が利用者の居宅でサービスを提供する訪問系サービスにも従事できるようになりました(出典:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」、運用要領別冊(介護分野))。

外国人本人の条件

  • 日本人職員と同様に、介護職員初任者研修課程などを修了していること
  • 介護事業所などでの実務経験が、原則として1年以上あること

事業所が守る主な事項

  1. 訪問系サービスの基本、コミュニケーション、日本の生活様式、緊急時の対応などの講習を行う
  2. 一人で適切にサービスを提供できると認められるまで、サービス提供責任者などが同行するなどしてOJTを行う
  3. 業務内容や注意事項を丁寧に説明し、本人の意向を確認しながら、キャリアパスの構築に向けた計画を作る
  4. ハラスメントを防ぐためのマニュアル作成や相談体制の整備などを行う
  5. 緊急時の連絡先や対応フローのマニュアル、他の職員が駆けつけられる体制、情報共有の仕組みを整える

このほか、利用者やその家族に書面を渡して説明し、署名を求めることも必要です。従事させる前に、協議会の事務局から「適合確認書」の発行を受ける必要があり、その後は外国人ごとのキャリアアップ計画を1年ごとに提出します。

支援と、長く働いてもらうための選択肢

1号の外国人には支援が必要

1号の外国人を受け入れる企業は、事前ガイダンスや生活オリエンテーション、定期的な面談など、10項目の支援を行う必要があります。支援は自社で行うことも、登録支援機関に委託することもできます(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

介護分野に2号はない

介護分野には特定技能2号がありません。1号の通算在留期間は原則5年です。長く働いてもらうには、介護福祉士の国家試験に合格して在留資格「介護」に変更する道があります。また、介護福祉士国家試験で合格基準点の8割以上を取得したものの不合格となった人は、要件を満たせば1号の通算在留期間を6年まで延ばせる措置があります(出典:出入国在留管理庁「通算在留期間」)。

受入れ見込数の動向

介護分野の1号の受入れ見込数(受入れの上限)は、2029年3月末までで126,900人です(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」令和8年9月29日更新)。

2026年10月19日に開かれた有識者会議では、「介護分野における特定技能1号・育成就労の受入れ見込数の配分変更(案)」が議題になりました。これは案の段階で、2026年10月27日時点では議事要旨は掲載されておらず、決定した内容は公表されていません(出典:出入国在留管理庁「第15回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」)。採用計画を立てるときは、最新の公表内容を確認してください。

よくある質問

介護福祉士の資格がない外国人でも採用できますか?

できます。1号の外国人に求められるのは、介護の技能試験・介護の日本語試験・一般的な日本語試験の合格(または免除の要件を満たすこと)で、介護福祉士の資格は必要ありません。

技能実習(介護)を修了した人は、試験を受け直す必要がありますか?

介護職種の技能実習2号を良好に修了した人は、3つの試験すべてが免除されます。介護職種以外の技能実習2号を修了した人は、一般的な日本語の試験は免除されますが、介護の日本語の試験は免除されません(出典:運用要領別冊(介護分野))。

何人まで受け入れられますか?

1号の外国人の人数は、事業所ごとに、日本人等の常勤の介護職員の総数までです。技能実習生や留学生は「日本人等」に数えません(出典:同上)。

訪問介護で働いてもらうことはできますか?

2025年4月21日から、初任者研修などの修了と原則1年以上の実務経験がある人について、事業所が講習・同行OJT・ハラスメント対策などの事項を守り、協議会の事務局から適合確認書の発行を受けることを条件に、訪問系サービスに従事できるようになりました。

協議会への加入に費用はかかりますか?

入会費・年会費は無料です。在留資格の申請の前に入会し、証明書を受けておく必要があります(出典:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)。

まとめ

特定技能「介護」で外国人を採用するには、外国人が介護の技能・日本語の試験に合格していること(または免除の要件を満たすこと)に加えて、受け入れる事業所が対象の施設であること、事業所ごとの人数枠の範囲内であること、在留資格の申請前に協議会に入会していることが必要です。訪問系サービスに従事させる場合は、さらに本人と事業所の条件があります。

介護分野には2号がないため、長く働いてもらうには介護福祉士の取得を視野に入れた育成が重要です。受入れ見込数の配分変更は案の段階のため、決定内容は出入国在留管理庁の公表を確認しながら、早めに採用計画を検討しましょう。