採用費用は「初期費用」と「継続費用」に分け、負担のルールが決まっている費用から押さえる

特定技能外国人の採用・受入れにかかる費用は、採用から就労開始までの「初期費用」と、受入れ中に続く「継続費用」に分けると整理しやすくなります。

紹介料や登録支援機関への委託費などの民間サービスの料金は、事業者ごとに異なり、法令で決まった相場はありません。一方で、「誰が負担するか」「外国人に負担させてはいけないか」は、法令や運用要領で決まっているものが多くあります。見積りを比べる前に、まずこのルールを押さえておくことが大切です。

押さえておきたいポイントは次の5つです。

  • 公的な手数料:海外から呼ぶときの在留資格認定証明書交付申請は手数料がかかりません。国内在住者を採用するときの在留資格変更許可申請と、在留期間更新許可申請には手数料がかかり、2026年10月1日から、許可される在留期間に応じた額になりました(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q23)。
  • 支援の費用は企業の負担:1号の外国人への義務的支援にかかる費用(登録支援機関への委託費を含む)は、直接・間接を問わず外国人に負担させられません。
  • 保証金・違約金は禁止:外国人が保証金を取られていることや、違約金を定める契約を結ばされていることを知りながら雇用契約を結ぶと、5年間受入れができなくなります。
  • 帰国旅費:本人の負担が原則ですが、本人が負担できないときは企業が負担します。
  • 紹介料は求人者の負担:職業紹介の手数料は、一部の例外を除いて、求職者からは受け取れません。

(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年10月)、厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」)

制度の全体像は「特定技能制度とは」、受入れ企業が満たすべき基準は「特定技能の受入れ企業の要件」で解説しています。

採用費用の全体像

初期費用(採用から就労開始まで)

費目 内容 負担のルール 額を左右するもの
人材紹介の紹介料 職業紹介事業者のあっせんで採用した場合の手数料 求人者(企業)が支払う。求職者からは一部の例外を除き受け取れない 事業者の手数料表など
海外の送出し機関などの費用 渡航前の技能・日本語の教育費、渡航費など 送出国の法令やガイドラインを踏まえて、企業が全部または一部を負担することが推奨されている 送出国のルール、送出し機関との契約
在留資格の申請手数料 在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請 認定証明書は手数料なし。変更許可は公定の手数料(下の表) 許可される在留期間、窓口かオンラインか
申請書類の作成の報酬 行政書士・弁護士に書類の作成を依頼する場合の報酬 依頼した企業が支払う 依頼する業務の範囲
事前ガイダンス・生活オリエンテーション 義務的支援。通訳が必要なときの通訳費を含む 企業が負担(外国人に負担させない) 実施の方法、通訳の要否
健康診断 申請の前に医師の診断を受ける 負担者を事前に取り決めておく 検診の項目(少なくとも健康診断個人票の項目)
入国時の送迎 義務的支援。空港と事業所(または住居)の間の送迎 企業が負担 入国する空港と事業所の距離、交通手段
住居の確保 連帯保証人になる、家賃債務保証業者を確保する、社宅を提供するなど 家賃債務保証業者の保証料は企業が負担。本人が借りる場合の敷金・礼金は本人負担が基本(企業が任意に負担することは可能) 住居を確保する方法
協議会への加入 分野ごとの協議会(建設・工業製品製造業は登録法人)への加入 企業 分野によって異なる

出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q23・Q83・Q89、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」、厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」

継続費用(受入れ中にかかる費用)

費目 内容 負担のルール 額を左右するもの
給与 日本人が従事する場合と同等以上の報酬 企業 同じ業務に従事する日本人の報酬額
社会保険・労働保険 加入の手続と保険料の納付 法令に従って手続・納付する -
支援の委託費 登録支援機関に支援の全部を委託する場合 企業が負担(外国人に負担させない)。法令上の上限はなく、契約時に額と内訳の明示を受ける 支援する外国人の数、事業所の数や場所など
自社で支援する費用 定期的な面談(3か月に1回以上)、相談・苦情への対応、通訳、通院などへの同行 企業が負担(外国人に負担させない) 人数、対応する言語、社内の体制
在留期間更新の手数料 在留期間を更新するたびに必要 公定の手数料(下の表)。負担者を事前に取り決めておく 許可される在留期間、窓口かオンラインか
届出・帳簿の事務 定期届出(年1回)、随時届出、活動状況の帳簿の作成・保存 企業 受入れ人数
本人が負担する住居費・食費など 社宅の家賃、食費、水道・光熱費など 本人が負担することはできるが、実費に相当する額などの適正な額で、本人の合意と明細書の提示が必要 実際にかかった費用、入居する人数

出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」(令和8年9月29日更新)、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」、「特定技能制度に関するQ&A」Q72

雇用契約の終了時にかかる費用

費目 負担のルール
帰国旅費 本人の負担が原則。本人が負担できないときは企業が負担し、出国が円滑にできるよう必要な措置を講じる
出国時の送迎 義務的支援。空港の保安検査場までの送迎・同行にかかる実費は企業が負担

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」、「外国人労働者に関する制度概要」

なお、支援の義務があるのは1号の外国人です。2号の外国人には支援の義務がないため、支援の委託費や義務的支援の費用は、1号の受入れでかかる費用です(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

在留資格の申請手数料(2026年10月1日改定)

海外から呼ぶ場合の在留資格認定証明書交付申請は、手数料がかかりません(出典:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」)。

国内に住む人を採用するときの在留資格変更許可申請と、在留期間更新許可申請は、2026年10月1日から、許可される在留期間に応じた手数料になりました。窓口申請とオンライン申請で額が異なります。

許可される在留期間 窓口申請 オンライン申請の手数料 オンライン申請の支払額合計(決済手数料込み)
3月以下 10,000円 10,000円 10,330円
3月超6月以下 18,000円 15,000円 15,330円
6月超1年未満 25,000円 21,000円 21,330円
1年 33,000円 27,000円 27,330円
1年超3年未満 48,000円 42,000円 42,330円
3年以上5年未満 64,000円 56,000円 56,550円
5年以上 75,000円 65,000円 65,550円

出典:出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」「在留期間更新許可申請」「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」

あわせて、次の点も確認しておきましょう。

  • 改定前に受け付けた申請:2026年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降になっても、改定前の手数料(窓口6,000円、オンライン5,500円)です(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q23)。
  • 納付の方法:窓口申請は収入印紙で納付します。オンライン申請はコンビニ払いか銀行払い(Pay-easy)で、2026年10月1日以降は収入印紙を使えません。クレジットカードでの支払いもできません(出典:出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」)。
  • 1号の在留期間:特定技能1号の在留期間は、3年を超えない範囲で、法務大臣が個々の外国人について指定します(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。手数料は、許可される在留期間によって決まります。
  • 申請の方法:申請は郵送では受け付けていません。オンライン申請は、弁護士・行政書士、所属機関の職員、登録支援機関の職員、マイナンバーカードを持つ外国人本人などが利用できます(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q22)。

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外国人に負担させてはいけない費用と、確認が必要な費用

特定技能の費用で最も注意したいのが、外国人本人の負担に関するルールです。違反すると、受入れの基準を満たさなくなるおそれがあります。

支援に要する費用は、直接・間接を問わず負担させない

1号の外国人を受け入れる企業は、義務的支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させないこととしている必要があります。「支援に要する費用」には登録支援機関への委託費用が含まれ、次のような費用も含まれます(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

  • 事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談・苦情への対応、定期的な面談を行うときの通訳人の通訳費など
  • 入国・出国のときの送迎にかかる交通費など

このほか、1号支援運用要領では、送迎に使う車の燃料代・道路通行料・駐車場料金、通院などに同行する支援担当者の交通費・日当、日本語学習の機会の提供として行う情報提供や手続の補助にかかる費用も、企業などが負担するものとしています(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。

一方で、住宅の賃貸料などの実費を、必要な限度で本人に負担させることは妨げられません。事前ガイダンスと生活オリエンテーションでは、支援の費用を負担させないことを外国人に説明する必要があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。支援の内容は「特定技能の支援計画とは」で詳しく解説しています。

保証金・違約金を定める契約は禁止

外国人本人やその家族などが、保証金の徴収などの名目で財産を管理されていたり、雇用契約の不履行について違約金を定める契約を結ばされていたりしないことが、上陸の基準になっています。この規定は、企業や登録支援機関、職業紹介事業者だけでなく、本国と日本の仲介事業者(ブローカー)も含めて、幅広く対象にしています(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

運用要領では、「不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約」の例として、次のものを挙げています。

  • 失踪など、労働契約の不履行について違約金を定める契約
  • 入管や労働基準監督署への相談、休日の無許可の外出、作業中にトイレなどで席を離れることを禁じて、違約金を定める契約
  • 一定期間勤めることを条件に貸付金の返済を免除する契約や、返済の途中で辞めたら残額を一括で返済させる契約
  • 商品やサービスの対価として、不当に高額な料金を取ることを予定する契約

企業がこうした事情を知りながら雇用契約を結んで受け入れた場合は、出入国・労働に関する法令について不正または著しく不当な行為を行ったものとして欠格事由に当たり、5年間受入れができなくなります。企業自身が違約金を定める契約を結ぶことも禁止されています(出典:同上)。

本人が外国の機関に支払った費用は、額と内訳の理解を確認する

外国人が、雇用契約の取次ぎや、本国での準備のために外国の機関に費用を支払っている場合は、その額と内訳を十分に理解して、その機関と合意していることが上陸の基準です。これは、外国人が不当に高額な費用を支払い、多額の借金を抱えて来日することがないように設けられたものです(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

運用要領は、旅券の取得費用など、本人が負担することに合理的な理由があるものについては、このルールにのっとって外国の機関が費用を徴収することを求めています。企業は、職業紹介事業者や外国の機関を通じて雇用する場合、外国の機関から徴収された費用の額と内訳を本人が十分に理解し、合意したうえで徴収されていることを確認する必要があります(出典:同上)。

住居費・食費など、本人が定期に負担する費用は実費相当に

食費や居住費など、本人が定期に負担する費用は、本人がその対価として提供される食事や住居の内容を十分に理解して合意していること、額が実費に相当するなどの適正な額であること、明細書などの書面が示されることが必要です(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

費用 本人から徴収できる額の基準
社宅(借上物件) 借上げにかかる費用(管理費・共益費を含む)を、入居する人数で割った額以内。敷金・礼金・保証金・仲介手数料・更新手数料・途中解約金などは含めず、本人に負担させることはできない
社宅(自己所有物件) 建設・改築などに実際にかかった費用(土地の費用を除く)、耐用年数、入居する人数などから算出した合理的な額
水道・光熱費 実際にかかった費用を、同居している人数で割った額以内
食費(現物支給) 購入にかかった額以内
食費(社員食堂) ほかの従業員から徴収する額以内

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」

給与から差し引く場合は、雇用条件書に差し引く費用の名目と額を必ず書き、本人が理解できるようにしなければなりません。また、企業などが賃借人となって社宅を貸す場合、外国人に社宅を貸すことで経済的な利益を得てはなりません(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。

住居は、同じ業務を行う日本人と同等の処遇を確保する必要があります。たとえば、日本人の従業員に社宅を提供しているなら、同じように社宅を提供する必要があります。居室の広さは、1人当たり7.5㎡以上が求められます(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。

帰国旅費は、本人が負担できないときに企業が負担する

雇用契約が終わった後の帰国旅費は、本人の負担が原則です。ただし、本人が負担できないときは、企業が帰国旅費を負担するとともに、出国が円滑にできるよう必要な措置を講じることが、雇用契約の基準になっています。帰国することになった原因は問いません(行方不明になった場合を除く)(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

帰国旅費を確保するために、外国人の報酬から差し引いて積み立て、企業が管理することは、財産の管理に当たり得るため認められていません。運用要領では、経営上の理由で負担が難しくなる場合に備えて、登録支援機関や関連企業などの第三者と協定を結んでおくことが望まれるとしています(出典:同上)。

紹介料・支援委託費・書類作成の報酬の仕組み

民間サービスの料金は事業者ごとに異なりますが、料金の決まり方や、事業者に求められていることは法令で定められています。見積りを比べる前に、仕組みを確認しておきましょう。

人材紹介の紹介料

職業紹介事業者を通じて採用する場合、企業は、職業安定法に基づく許可または届出を受けた事業者からあっせんを受ける必要があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

有料職業紹介事業者は、法令で認められた手数料のほかは、どのような名義でも、実費その他の手数料や報酬を受け取ることはできません。紹介の手数料には、省令で定める上限の範囲で求人者から受け取る「上限制手数料」と、事業者が厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく「届出制手数料」があります(出典:厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」第6)。

求職者からの手数料は、芸能家・モデルの職業や、年収700万円を超える経営管理者・科学技術者・熟練技能者の職業など、一部の例外を除いて受け取ることができません(このほか、調理師・配ぜん人などの6つの職業では、求職の申込みを受けたときの受付手数料が経過措置として認められています)。また、事業者は、求人の申込みや求職の申込みを受けた後、手数料と返戻金制度に関する事項を、求人者と求職者の双方に明示しなければなりません(出典:同上)。

特定技能の採用で職業紹介を利用するときは、次の点にも注意が必要です。

  • 登録支援機関でも、職業紹介には許可が必要:登録支援機関として登録を受けていても、職業紹介を行う場合は、別に職業紹介事業の許可などを受ける必要があります(出典:厚生労働省・都道府県労働局「特定技能外国人材の受入れに関する留意点」)。
  • 海外からの紹介は、手数料の条件を事前に明確に:国外にわたる職業紹介では、紹介の後に求職者が在留資格を取得できない可能性があるため、トラブル防止のため、手数料の額や支払いのタイミングなどを事前に求人者との間で明確にしておく必要があるとされています(出典:同上)。
  • 渡航費用の貸付け:国外にわたる職業紹介では、職業紹介事業者は、求職者に渡航費用などを貸し付けたり、求人者が渡航費用などを貸し付けた求職者を紹介したりしてはならないとされています(出典:厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」第3)。1号支援運用要領では、往路の航空券代を含む渡航準備費用などを企業が外国人に貸し付けることは差し支えないとしていますが(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)、職業紹介事業者を通じて海外から採用する場合は、貸付けの扱いを事前に紹介事業者と確認しておきましょう。

海外の送出し機関などの費用

海外から採用する場合、送出国によっては、認定された送出機関を通じてのみ受入れが認められ、送出しに必要な費用がガイドラインなどで公表されていることがあります。1号支援運用要領では、渡航前の技能・日本語の教育費や渡航費用など、送出しに必要な費用について、企業が送出国の法令やガイドラインを踏まえて全部または一部を負担することを推奨しています(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。

航空運賃についても、送出国の法令で定めがある場合があるため、在日大使館に確認するよう案内されています(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q82)。国ごとの手続は、出入国在留管理庁の特定技能制度のページにある「特定技能に関する各国別情報」で確認できます。

登録支援機関への支援委託費

登録支援機関が企業から受け取る委託費に、入管法令上の上限はありません。ただし、登録支援機関は、支援の全部の委託を受ける契約を結ぶときに、支援に要する費用の額と内訳を企業に示す必要があり、示さない者は登録を拒否されます(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q70・Q72、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

委託費は、支援する外国人の数や、企業の事業所の数・場所などによって異なり得るため、1号支援運用要領は、複数の登録支援機関から見積りを取るなど、支援の内容を十分に確認してから契約し、契約後のトラブルを防ぐよう呼びかけています(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。

なお、2027年4月1日から、1号の外国人への支援体制の要件が改正され、支援責任者・支援担当者の選任や、支援担当者の人数を、委託を受ける企業の数や支援する外国人の数に応じて確保することなどが定められます(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)」)。登録支援機関の役割や改正の内容は「登録支援機関とは」で解説しています。

申請書類の「作成」と「取次」は別のもの

在留資格の申請にかかわる費用を見積もるときは、書類の「作成」と「取次」を分けて考える必要があります。

書類の作成:官公署に提出する書類を、他人の依頼を受けて報酬を得て作成することを業とするのは、行政書士の業務です。2026年1月1日に施行された改正行政書士法では、行政書士・行政書士法人でない者は、「いかなる名目によるかを問わず」報酬を得てこの業務を行うことができないと、条文に明記されました。総務省は、「手数料」や「コンサルタント料」などどのような名目であっても、対価を受け取って業として官公署に提出する書類を作成することは違法であるという解釈を、条文に明示したものと説明しています(出典:総務省「行政書士法の一部を改正する法律の公布について(通知)」令和7年6月13日)。

取次:取次は、申請書や資料の提出などの事実行為です。登録支援機関の職員は、申請等取次者として承認を受けていれば、支援の全部の委託を受けている企業の外国人について、在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請などを取り次ぐことができます。ただし、取次者は、申請人として署名したり、記載内容を直接訂正したりすることはできません(出典:出入国在留管理庁「受入れ機関等の職員の方」「申請等取次者としての承認手続」)。

出入国在留管理庁は、弁護士・行政書士以外の人が、官公署に提出する申請書などの作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たるおそれがあると注意を促しています(出典:出入国在留管理庁「申請等取次者としての承認手続」)。オンライン申請でも、弁護士・行政書士以外の人が、業として手数料を得るなどして申請情報を入力すると、弁護士法違反または行政書士法違反となることがあるとされています(出典:出入国在留管理庁「所属機関・公益法人・登録支援機関の職員の方」)。

つまり、企業から見ると、書類作成を専門家に依頼する場合の報酬と、登録支援機関への支援委託費は、別の費用です。見積りでは、それぞれの範囲を分けて確認しておきましょう。

実務:費用を見積もるときのポイント

海外から呼ぶか、国内在住者を採用するかで費目が変わる

採用する人がどこにいるかによって、かかる費用の種類が変わります。

項目 海外から呼ぶ場合 国内在住者を採用する場合
在留資格の申請 在留資格認定証明書交付申請(手数料なし) 在留資格変更許可申請(手数料あり)
健康診断 申請の日から3か月以内に医師の診断を受ける 申請の日から1年以内に日本の医療機関で受けた診断書でもよい
入国時の送迎 必要(企業が負担) 技能実習2号などから変更する人がすでに日本にいる場合は対象外(企業の判断で国内の移動の送迎・費用負担をしてもよい)
住居の確保 入国前に準備する すでに住居があり住み続けるなど、支援が明らかに不要な場合は行わなくてもよい
送出しにかかわる費用 送出国のルールによって発生することがある -

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」

採用の全体の流れは「特定技能外国人の採用フロー」で解説しています。

見積りは「何が含まれるか」と「誰が負担するか」を分けて確認する

紹介料や支援委託費は、事業者ごとに含まれる範囲が異なります。見積りを比べるときは、総額だけでなく、次の点を確認しましょう。

  • 紹介料:手数料表の内容、返戻金制度の有無と条件、支払いのタイミング
  • 支援委託費:委託する支援の範囲、費用の額と内訳(登録支援機関には明示が求められています)、通訳費や送迎の実費が含まれるか
  • 書類作成:誰が作成するか(行政書士・弁護士か)、取次だけか
  • 送出し機関:送出国のルール、本人が負担する費用の額と内訳
  • 本人負担:家賃・食費などを本人から徴収する場合の額と、その根拠となる実費

どの費用を企業が負担し、どの費用を本人が負担するかは、雇用契約と事前ガイダンスの段階で決めておく必要があります。本人が負担する費用がある場合は、本人がその内容を十分に理解していることが受入れの要件です(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

受入れにかかった費用は記録に残す

企業は、特定技能外国人の活動状況に関する帳簿に、「受入れに要した費用の額及び内訳」と「支援に要した費用の額及び内訳」を記載し、雇用契約の終了日から1年以上、外国人が働く事業所に備えておく必要があります。毎月の報酬を口座振込で支払う場合は、振込明細書を受入れ費用の添付資料として帳簿に綴じておきます(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

また、毎年の定期届出(4月1日から翌年3月31日までの状況を、翌年4月1日から5月31日までに提出)では、活動状況として受入れに要した費用の額なども届け出ます(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。採用の段階から、費目ごとに記録を残しておくと、届出の準備がしやすくなります。

協議会の費用は分野ごとに確認する

受入れ企業は、在留資格の申請の前に、分野ごとの協議会に加入する必要があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q14)。建設分野と工業製品製造業分野では、協議会に加えて、分野所管省庁の登録を受けた法人(登録法人)に加入する必要があります(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

費用の有無は分野ごとに確認が必要です。たとえば、介護分野の協議会は入会費・年会費などの費用を徴収しないと案内されています(出典:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)。自動車整備分野の協議会も、加入にあたって会費は発生しないとされています(出典:国土交通省「自動車整備分野における「特定技能」の受入れ」)。分野ごとの詳細は「介護分野の特定技能」「自動車整備分野の特定技能」「宿泊分野の特定技能」、対象分野の一覧は「特定技能の対象分野一覧」で確認できます。

よくある質問

登録支援機関への委託費を、外国人の給与から差し引いてもよいですか?

できません。支援に要する費用には登録支援機関への委託費用も含まれ、直接・間接を問わず外国人に負担させることはできません。家賃などの実費を、必要な限度で本人に負担してもらうことは可能です(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「特定技能制度に関するQ&A」Q76)。

登録支援機関の委託費に上限はありますか?

入管法令上の上限はありません。ただし、登録支援機関は、委託契約を結ぶときに、支援に要する費用の額と内訳を企業に示す必要があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q72)。

海外から呼ぶ場合、申請に手数料はかかりますか?

在留資格認定証明書交付申請には手数料がかかりません。ただし、入国後に在留期間を更新するときは、許可される在留期間に応じた手数料がかかります(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q23)。

往路の航空券代は企業が負担しなければなりませんか?

Q&Aで企業に負担が義務付けられているのは、本人が負担できない場合の帰国旅費です。往路の渡航費を含む送出しに必要な費用については、1号支援運用要領が、送出国の法令やガイドラインを踏まえて企業が全部または一部を負担することを推奨しています。送出国の法令で定めがある場合もあるため、在日大使館にも確認してください(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q82、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。

社宅の家賃を本人から徴収してもよいですか?

徴収できます。ただし、借上物件の場合は、借上げにかかる費用(管理費・共益費を含む)を入居する人数で割った額以内で、敷金・礼金・仲介手数料などを本人に負担させることはできません。本人が内容を理解して合意し、給与から差し引く場合は雇用条件書に名目と額を書く必要があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

家賃保証会社の保証料は誰が負担しますか?

連帯保証人として適当な人がいないために家賃債務保証業者を利用した場合、保証料は企業が負担します(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q89)。

登録支援機関に、在留資格の申請書類の作成まで頼めますか?

官公署に提出する書類を、報酬を得て業として作成できるのは、行政書士・弁護士です。登録支援機関の職員は、申請等取次者として承認を受けていれば申請を取り次ぐことはできますが、取次は申請書や資料の提出などの事実行為です(出典:総務省「行政書士法の一部を改正する法律の公布について(通知)」、出入国在留管理庁「申請等取次者としての承認手続」)。

まとめ

特定技能外国人の採用費用は、紹介料、送出しにかかわる費用、申請手数料、事前ガイダンスや送迎などの初期費用と、給与、支援の委託費、在留期間の更新手数料などの継続費用に分けて整理できます。紹介料や支援委託費の額は事業者ごとに異なりますが、在留資格の手数料は公定の額で、2026年10月1日から許可される在留期間に応じた額に改定されています。

費用を考えるうえで最も大切なのは、負担のルールです。義務的支援の費用(登録支援機関への委託費を含む)は外国人に負担させられず、保証金・違約金を定める契約は禁止されています。本人が負担する家賃や食費は実費相当などの適正な額で、本人の理解と合意が必要です。見積りを比べるときは、総額だけでなく、何が含まれるかと誰が負担するかを分けて確認し、受入れ後も費用の額と内訳を記録しておきましょう。