特定技能1号になる方法は「試験に合格する」か「技能実習2号から移行する」の2つ

特定技能1号は、人手不足の分野(特定産業分野)で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が働くための在留資格です。1号の在留資格を得るには、技能と日本語能力を証明する必要があり、その方法は大きく2つあります(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」令和8年9月29日更新)。

  • 試験に合格する:働きたい分野の「業務区分」(分野の中で決められた仕事のまとまり)に対応する技能試験と、日本語試験(国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験N4以上)に合格します。介護のように、分野独自の日本語試験が加わる分野もあります。
  • 技能実習2号から移行する:技能実習2号を良好に修了した人は、日本語試験が原則として免除されます。さらに、技能実習の職種・作業と、これから働く業務区分に関連性があれば、技能試験も免除されます。

どちらのルートでも、18歳以上であること、健康状態が良好であること、1号での通算の在留期間が5年に達していないことなど、ほかの条件も満たす必要があります。また、技能実習法の施行(2017年11月1日)以前に技能実習を修了した人は、2027年4月1日以降に上陸許可などを受ける場合、試験の免除を受けられなくなります(詳しくは後述)。

制度の全体像は「特定技能とは」、1号と2号の違いは「特定技能1号と2号の違い」で解説しています。

特定技能1号の本人の条件

外国人本人に求められる条件は、法務省令(上陸基準省令)で次のように定められています。

条件 内容
年齢 18歳以上であること
健康状態 健康状態が良好であること(健康診断で確認)
技能 働く業務に必要な技能が、試験などで証明されていること
日本語能力 生活と業務に必要な日本語能力が、試験などで証明されていること
通算の在留期間 1号での在留期間が通算5年(相当の理由がある場合は6年)に達していないこと
保証金・違約金 保証金の徴収や財産の管理をされておらず、違約金を定める契約などを結んでいないこと
費用の合意 外国の機関に支払った費用や、食費・居住費などの内容を十分に理解して合意していること
本国の手続 国籍国などで定められた手続がある場合は、その手続を経ていること
旅券 告示で定める国・地域の旅券を持っていること(イランの旅券は対象外)

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年10月)第4章第1節

このうち「技能」と「日本語能力」は、技能実習2号を良好に修了し、技能実習の内容と働く業務に関連性がある場合は、試験などでの証明が不要とされています(出典:同上)。学歴の要件はありません(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q45)。

ルート1:技能試験と日本語試験に合格する

技能試験は「業務区分」ごとに決まっている

1号に求められるのは、「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」です。特別な育成や訓練を受けなくても、すぐに一定程度の業務ができる水準とされています。この水準は、分野ごとの「分野別運用方針」(分野ごとの受入れのルール)で定める、業務区分に対応した試験などで確認します(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

同じ分野でも、業務区分が違えば試験が異なることがあります。そのため、最初に「どの分野の、どの業務区分で働くか」を決めることが出発点です。分野によっては、評価試験のほかに技能検定などで技能を証明できたり、試験によらない方法で評価したりする場合もあります(出典:同上)。たとえば、次のような違いがあります。

分野 1号の技能水準の確認方法
宿泊 宿泊分野の特定技能1号評価試験
自動車整備 自動車整備分野の特定技能1号評価試験、または3級の自動車整備士の技能検定

出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」7ページ

技能試験を現地の言葉で行う分野もあれば、日本語だけで行う分野もあります(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q57)。分野ごとの試験は「特定技能の対象19分野一覧」と、「特定技能「宿泊」採用ガイド」「特定技能「自動車整備」の受入企業要件」などの分野別の記事で紹介しています。

日本語試験はJFT-BasicかJLPT N4以上

1号に求められる日本語能力は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度を基本としています(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。制度概要では「A2.2相当以上」とされ、A2.2は「日本語教育の参照枠」(日本語の力をレベル別に示した目安)のA2相当のレベルです(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

多くの分野で使えるのは、次の2つの試験です。

試験 主催 実施の方法 1号に必要な結果
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) 国際交流基金 コンピューターで解答する方式(CBT)。約50問・60分。海外(主にアジア地域)と日本で、原則毎月実施 A2.2(A2)の判定(総合得点200点以上)
日本語能力試験(JLPT) 国際交流基金・日本国際教育支援協会 年2回(7月・12月)。日本国内と海外で実施(海外には7月か12月の一方だけ行う都市もある) N4以上に合格

出典:国際交流基金「JFT-Basicとは」「よくある質問」、日本語能力試験公式サイト、出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」

JFT-Basicは、2026年8月からA1とA2.1も判定するようになりましたが、1号の申請に使えるのはA2.2(A2)の判定です。結果は試験の終了時に画面に表示され、有効期限はありません(出典:国際交流基金「JFT-Basicとは」「よくある質問」)。

JLPTは受験希望者が多く、2026年12月の試験は受付期間の終了前に全レベルが締め切られました。出入国在留管理庁は、JLPTのN4やN5を受けようとしている人にJFT-Basicの活用を勧めており、JFT-Basicは国内でも基本的に全国11か所で毎月複数回実施されています(出典:出入国在留管理庁「JLPT(N4・N5)受験申込みを検討中の方へ JFT-Basicの活用をお勧めします」)。

分野独自の日本語の要件がある分野

いくつかの分野・業務区分では、上の日本語試験とは別の要件があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「外国人労働者に関する制度概要」)。

  • 介護:JFT-BasicまたはJLPT N4以上に加えて、介護の日本語の試験(介護特定技能評価試験(日本語))にも合格する必要があります。詳しくは「特定技能「介護」採用ガイド」をご覧ください。
  • 自動車運送業(タクシー・バス)と鉄道(運輸係員):運用要領では、N3レベルの日本語能力が必要とされています。2027年4月1日以降の在留資格認定証明書交付申請からは、「B1相当以上」が必要になると案内されています(出典:出入国在留管理庁「日本語能力水準「B1相当以上」の確認開始時期について」)。

ルート2:技能実習2号から移行する

技能実習2号は、技能実習の2段階目(期間は2年以内)で、技能実習1号(1年以内)の次の段階です(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。技能実習2号から特定技能1号に移るときに試験が免除されるには、次の2つの条件があります。

条件1:技能実習2号を「良好に修了」している

「良好に修了」とは、技能実習を2年10か月以上修了し、次のどちらかに当てはまることをいいます(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

  1. 技能実習計画の目標である技能検定3級、またはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格している
  2. 1に合格していないが、実習実施者(技能実習生を受け入れていた企業)が、実習中の出勤状況、技能の修得状況、生活態度などを書いた評価の書面で、良好に修了したと認めている

条件2:技能実習の職種・作業と業務区分に関連性がある

技能試験の免除を受けるには、技能実習2号の職種・作業と、特定技能1号で働く業務区分に関連性が必要です。どの組み合わせに関連性があるかは、出入国在留管理庁が一覧表で示しています。溶接のように、1つの職種が複数の業務区分につながる場合もあります。

技能実習2号の職種(作業) 技能試験が免除される特定技能1号の分野(業務区分)
介護(介護) 介護
宿泊(接客・衛生管理) 宿泊
自動車整備(自動車整備) 自動車整備(自動車整備・車体整備)
溶接(手溶接・半自動溶接) 工業製品製造業(機械金属加工など3区分)、建設(3区分)、造船・舶用工業(造船・舶用機械)、鉄道(車両製造)

出典:出入国在留管理庁「技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係について」(令和8年6月1日時点)

免除される試験

ケース 技能試験 日本語試験
職種・作業と業務区分に関連性がある 免除 免除
職種・作業と業務区分に関連性がない 合格が必要 原則として免除

出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q50・Q60、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」

日本語試験は、原則として、修了した技能実習の職種・作業にかかわらず免除されます。ただし、次の場合は免除されません(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

  • 介護分野の介護の日本語の試験(介護職種の技能実習2号を良好に修了した人は免除)
  • 自動車運送業(タクシー運転者・バス運転者)と鉄道(運輸係員)の日本語能力の証明

「良好に修了」を証明する書類

在留資格の申請では、次の書類で「良好に修了」したことを証明します(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

  • 技能検定3級、またはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の写し(合格している場合)
  • 技能実習生に関する評価調書(参考様式第1-2号)(合格していない場合)

特定技能で受け入れる企業が、その人を技能実習生として受け入れていた実習実施者で、過去1年以内に技能実習法の「改善命令」を受けていない場合は、これらの書類を省略できます。帰国した後に同じ実習実施者と特定技能の雇用契約を結ぶ場合も同じです(出典:同上)。

実習先から評価調書をもらえない場合は、事情を説明する理由書と、当時の技能実習指導員など実習の状況を知る人が作った文書を出し、地方出入国在留管理局が総合的に評価することもできます(出典:同上、「特定技能制度に関するQ&A」Q48)。

2027年4月から:技能実習法施行以前の修了者は試験が必要に

2027年4月1日に改正入管法・技能実習法が施行されるのに合わせて、次の人の取扱いが変わります(出典:出入国在留管理庁「技能実習法施行以前の「技能実習」等を修了した者が「特定技能1号」に移行しようとする場合の取扱いについて」)。

  • 技能実習法の施行(2017年11月1日)以前の在留資格「技能実習」を良好に修了した人
  • 在留資格「技能実習」の創設(2010年7月1日)以前の「特定活動(技能実習)」を良好に修了した人

これらの人も、2027年3月31日までは、これまでの免除の取扱いが適用されます。2027年4月1日以降に上陸許可などを受ける場合は、良好に修了していても、技能試験と日本語試験の両方に合格する必要があります。

比較表:試験に合格する場合と技能実習2号から移行する場合

項目 試験に合格して特定技能1号になる場合 技能実習2号から移行する場合
主な要件 働く業務区分に対応する技能試験と、日本語試験に合格する 技能実習2号を良好に修了している(2年10か月以上+実技試験の合格または評価調書)
必要な試験・免除される試験 技能試験+JFT-Basic(A2.2)またはJLPT N4以上。介護は介護の日本語の試験も必要 職種・作業と業務区分に関連性があれば、技能試験・日本語試験ともに免除。関連性がなければ技能試験は必要で、日本語試験は原則免除
証明する書類 技能試験の合格証明書の写し、日本語試験の合格証明書の写し 技能検定3級などの実技試験の合格証明書の写し、または評価調書(同じ実習実施者が受け入れる場合などは省略できる)
注意点 試験は業務区分ごとに異なる。国内で受験できるのは在留資格を持つ人だけ。合格しても在留資格の許可が保証されるわけではない 実習の途中では原則として変更できない。修了後は許可が出るまで働けない。介護の日本語の試験、タクシー・バス・鉄道(運輸係員)の日本語は免除されない。技能実習法施行以前の修了者は、2027年4月1日以降の上陸許可などから両方の試験が必要

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「特定技能制度に関するQ&A」Q47・Q49・Q50、「技能実習法施行以前の「技能実習」等を修了した者が「特定技能1号」に移行しようとする場合の取扱いについて」

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そのほかの条件(年齢・健康・在留期間)

18歳以上(日本に上陸する時点で)

18歳未満でも在留資格認定証明書交付申請(海外から呼ぶときの申請)はできますが、日本に上陸する時点では18歳以上である必要があります。在留資格認定証明書の有効期間は交付日から3か月以内なので、この期間を考えて申請します(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

健康状態が良好であること

健康状態は健康診断で確認します。新たに入国する場合は、申請の日の前3か月以内に医師の診断を受ける必要があります。日本にいる技能実習生や留学生などが在留資格を変更する場合は、申請の日の前1年以内に日本の医療機関で受けた診断の診断書でもかまいません(出典:同上)。

1号での通算の在留期間

1号で在留できる期間は通算で原則5年までで、分野を問わず、過去に1号で在留していた期間も含まれます(出典:同上)。通算から除かれる期間や、6年まで在留できる場合については「特定技能1号と2号の違い」で解説しています。

保証金・違約金の確認や、国籍国での手続(二国間取決め)については、「特定技能外国人の採用フロー」をご覧ください。

試験はどこで・いつ受けられるか

特定技能の試験は、海外と日本国内で行われています。日程と会場は、出入国在留管理庁の「試験関係」ページの試験実施予定一覧表や、外国人向けの「特定技能総合支援サイト」で確認できます。ただし、試験を行う省庁や団体のサイトのほうが情報が新しい場合があるため、申し込む前に各団体のサイトを確認してください(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q56、「試験関係」、特定技能総合支援サイト「試験について」)。

受験にあたっては、次の点に注意が必要です。

  • 国内で受験できる人:日本に在留資格を持って在留している人です。「短期滞在」の人も受験できますが、不法残留者など在留資格のない人は受験できません(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。
  • 短期滞在からの変更:「短期滞在」で在留している人は、原則として特定技能への在留資格の変更が認められません。国内の試験に合格しても、日本にいたまま特定技能に変わることは原則としてできません(出典:同上)。
  • 合格しても許可が保証されるわけではない:在留資格の審査は別に行われ、査証(ビザ)も外務省が別に審査します(出典:同上)。
  • 国籍国以外での受験:国籍国で試験が行われていない場合でも、近くの国で行われる試験を受けることは妨げられていません(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q61)。

企業・求職者が気をつけたいポイント

企業:業務区分と書類を採用前に確認する

採用したい人の試験の合格や技能実習の職種・作業が、任せたい業務区分に合っているかを、採用の前に確認します。試験の合格前に内定を出したり、雇用契約を結んだりすることは法律上禁止されていませんが、必要な試験に合格しなければ在留資格の許可は受けられません(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q16・Q17)。

企業側が満たす要件は「特定技能の受入れ企業の条件」で解説しています。

求職者:働きたい業務区分を決めてから試験を選ぶ

まず働きたい分野と業務区分を決め、その業務区分の技能試験と日本語試験を確認します。技能実習2号を修了した人は、職種・作業がどの業務区分につながるかを一覧表で確認し、評価調書が必要なら実習先に早めに相談しておくと安心です。

育成就労が始まると

2027年4月1日に、特定技能1号の水準の人材の育成・確保を目的とする育成就労制度の運用が始まります。育成就労では、終了時(特定技能1号への移行時)に技能と日本語の水準を試験などで確認するとされており、その水準は特定技能1号と同じです(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

よくある質問

学歴がなくても特定技能1号になれますか?

なれます。学歴の要件はありません。ただし、日本語試験と技能試験に合格すること(または技能実習2号からの免除の条件を満たすこと)と、18歳以上であることが必要です(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q45)。

JFT-BasicでA2.1やA1の判定が出た場合も、特定技能1号に使えますか?

使えません。1号の申請に使えるのはA2.2(A2)の判定で、総合得点200点以上です。A1とA2.1は、2026年8月から判定されるようになった水準です(出典:国際交流基金「JFT-Basicとは」「よくある質問」)。

試験は何回でも受けられますか?

出入国在留管理庁の試験方針には、受験回数を制限する規定はありません。詳しくは各分野を所管する省庁に確認してください(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q58)。JFT-Basicを再受験する場合は、前回の受験日から45日間あける必要があります(出典:国際交流基金「よくある質問」)。

技能実習3号の途中でも、特定技能1号に移れますか?

技能実習計画の途中の人は、原則として特定技能への変更が認められません。ただし、計画の途中で技能実習を終えて特定技能に移ることについてやむを得ない事情がある場合は、まず地方出入国在留管理局に相談してください。例として、受入れ企業の経営上の都合で特定技能1号の採用が取りやめになり、技能実習3号に移った場合などが挙げられています(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

まとめ

特定技能1号になるには、働く業務区分に対応する技能試験と日本語試験(JFT-BasicのA2.2、またはJLPT N4以上)に合格するか、技能実習2号を良好に修了して試験の免除を受ける方法があります。技能実習からの免除は、職種・作業と業務区分の関連性があるかどうかで、免除される試験が変わります。介護の日本語の試験のように、免除されないものもあります。

2027年4月からは、技能実習法施行以前の修了者の扱いが変わり、育成就労制度も始まります。試験の日程や分野ごとのルールは変わることがあるため、出入国在留管理庁と試験を行う団体の最新情報を確認しながら準備を進めましょう。