全分野共通の基準と、分野ごとの上乗せ基準の両方を満たす必要がある

特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、事前に国の認定を受けるわけではありません。外国人本人の在留資格の申請の審査の中で、協議会への加入も含めて、企業が所定の基準を満たしているかが確認されます(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q27)。

企業が満たす要件は、大きく次の2つに分かれます。

  • 全分野共通の基準:省令で定められた基準で、どの分野でも同じです。「雇用契約が適切であること」「企業自体が適切であること」「外国人を支援する体制があること」「支援計画が適切であること」の4つが柱です(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」令和8年9月29日更新)。これに加えて、分野別の協議会への加入と、市区町村への協力確認書の提出が必要です。
  • 分野ごとの上乗せ基準:分野の特有の事情から、告示で追加されている基準です。営業の許可や認証を受けていること、受け入れられる人数の上限などがあります(出典:同上)。

なお、支援体制と支援計画の基準は、1号の外国人を受け入れる場合のものです。2号には支援の義務がありません(出典:同上)。1号と2号の違いは「特定技能1号と2号の違い」で解説しています。

受入れ企業の要件の全体像

全分野共通の要件と、分野ごとの上乗せ基準を一覧にすると、次のとおりです。

区分 主な内容 対象
雇用契約の基準 報酬が日本人と同等以上、所定労働時間が通常の労働者と同等、差別的な取扱いをしない など 1号・2号
企業自体の基準 労働・社会保険・租税の法令を守っている、5年以内に出入国・労働法令の違反がない など 1号・2号
支援体制の基準 外国人の受入れ実績などがあり、支援責任者・支援担当者を選任している など(登録支援機関に全部委託すれば満たすものとみなされる) 1号
支援計画の基準 10項目の支援を盛り込んだ計画を作り、申請時に提出する 1号
協議会への加入 在留資格の申請の前に、分野別の協議会の構成員になる 1号・2号
協力確認書の提出 初めて受け入れる場合、申請の前に市区町村へ提出する 1号・2号
分野ごとの上乗せ基準 許認可、登録法人への加入、受入れ人数の上限など(分野により異なる) 分野による

出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年10月)、「特定技能制度に関するQ&A」Q14

全分野共通の要件

1. 雇用契約の基準

外国人と結ぶ雇用契約(特定技能雇用契約)は、労働基準法などの労働関係法令に適合していることに加えて、次の基準を満たす必要があります(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

  • 分野ごとに定められた技能を要する業務に従事させること
  • 所定労働時間が、同じ企業に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
  • 報酬額が、日本人が従事する場合の額と同等以上であること
  • 外国人であることを理由に、報酬の決定、教育訓練、福利厚生施設の利用などで差別的な取扱いをしないこと
  • 外国人が一時帰国を希望した場合に、休暇を取得させるものとしていること
  • 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先と派遣の期間が定められていること
  • 外国人が帰国旅費を負担できないときは、企業が負担し、契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずること
  • 外国人の健康の状況や生活の状況を把握するために必要な措置を講ずること
  • 分野に特有の基準に適合すること

運用要領では、「通常の労働者」はいわゆるフルタイムで雇用される労働者で、アルバイトやパートタイム労働者は含まれないとされています。この制度でのフルタイムは、原則として、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上で、週の労働時間が30時間以上であることをいいます。特定技能外国人はフルタイムで業務に従事することが求められるため、1人の外国人が複数の企業で働くことはできません(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「特定技能制度に関するQ&A」Q33)。

報酬については、技能実習生として受け入れた人を雇う場合、技能実習2号を修了したときの報酬額を上回ることはもちろん、実際に3年程度または5年程度の経験を積んだ日本人の技能者に支払っている報酬額とも比べて、適切に設定する必要があるとされています(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

また、雇用契約書と雇用条件書は、外国人が十分に理解できる言語で作成し、本人が内容を十分に理解したうえで署名している必要があります(出典:同上)。

2. 受入れ企業自体の基準

企業自体についても、雇用契約を適正に履行できることを確保するための基準があります(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

基準 内容と注意点
法令の遵守 労働・社会保険・租税に関する法令を守っていること。社会保険に加入する必要がある企業が未加入の場合は、受け入れることができない
非自発的な離職者 雇用契約を結ぶ日の前1年以内とその後に、外国人と同種の業務に従事していた労働者を非自発的に離職させていないこと(1人でも該当すると基準に適合しない)
行方不明者 雇用契約を結ぶ日の前1年以内とその後に、企業の責めに帰すべき事由で外国人の行方不明者を出していないこと(技能実習生を含む)
欠格事由 5年以内に出入国・労働法令の違反がないことなど。刑罰、技能実習の実習認定の取消し、不正行為、暴力団の排除、役員の適格性などが定められている
活動状況の文書 外国人の活動の内容に関する文書を作成し、雇用契約の終了日から1年以上、事業所に備えて置くこと
保証金・違約金 外国人が保証金を徴収されていることなどを知りながら雇用契約を結ばないこと。企業自身が違約金を定める契約などを結ばないこと
支援の費用 1号の外国人への支援に要する費用を、直接・間接を問わず外国人に負担させないこと
派遣の場合 派遣元・派遣先が一定の要件を満たすこと
労災保険 労災保険の保険関係の成立の届出などの措置を講じていること
継続して履行する体制 事業を安定的に続け、雇用契約を確実に履行できる財政的な基盤があること
報酬の支払方法 報酬を預貯金口座への振込みなど、支払った額を確認できる方法で支払うこと
共生施策への協力 地方公共団体から共生施策への協力を求められたときは、必要な協力をすること
分野特有の基準 分野ごとの告示で定める基準に適合すること

出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「特定技能制度に関するQ&A」Q43

運用要領では、とくに次の点に注意が必要とされています。

  • 法令違反の影響:労働関係法令に違反する行為は欠格事由(不正行為)の対象となり、5年間、特定技能外国人の受入れが認められなくなることがあります。
  • 保証金・違約金:外国人やその親族が保証金を徴収されていることなどを知りながら受け入れた場合も、不正な行為として欠格事由に該当し、5年間受入れができなくなります。雇用契約を結ぶときに十分に確認する必要があります。
  • 未納がある場合:社会保険料や税に未納があっても、地方出入国在留管理局の助言・指導に基づいて納付すれば、法令を遵守しているものと評価されるとされています。
  • 債務超過がある場合:直近の期末に債務超過がある場合は、中小企業診断士や公認会計士など、企業評価を行う公的資格を持つ第三者が改善の見通しを評価した書面も必要になります。

法令の遵守は、申請の際に、労働保険料等納付証明書、社会保険料の納付状況を示す書類(申請月の前々月までの24か月分の領収証書の写しなど)、納税証明書などで確認されます(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

3. 支援体制の基準(1号を受け入れる場合)

1号の外国人を受け入れる企業は、外国人を支援する体制についても、次の基準を満たす必要があります。ただし、支援計画の全部を登録支援機関に委託する場合は、これらの基準を満たすものとみなされます(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

  1. 次のいずれかに当てはまること
    • 過去2年間に、中長期在留者(就労が認められる在留資格の人に限る)の受入れまたは管理を適正に行った実績があり、役職員の中から、支援責任者と、事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任している
    • 役職員で、過去2年間に中長期在留者(同上)の生活相談などに従事した経験がある人の中から、支援責任者と支援担当者を選任している
    • これらと同程度に支援業務を適正に実施できる人で、役職員の中から支援責任者と支援担当者を選任している
  2. 外国人が十分に理解できる言語で支援を実施できる体制があること
  3. 支援の状況に関する文書を作成し、雇用契約の終了日から1年以上備えて置くこと
  4. 支援責任者と支援担当者が、支援計画を中立に実施できる立場にあり、欠格事由に該当しないこと
  5. 5年以内に、支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
  6. 支援責任者または支援担当者が、外国人とその監督をする立場にある人と、定期的な面談を実施できる体制があること
  7. 分野に特有の基準に適合すること

支援責任者と支援担当者は兼任できます(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q67)。「中立に実施できる立場」とは、外国人と異なる部署の職員など、外国人への指揮命令権を持たない人をいいます。異なる部署でも、代表取締役や外国人が所属する部署を監督する長など、組織図で縦のラインにある人は認められません。企業の役員の配偶者や2親等内の親族も認められません(出典:同Q&A Q96)。

外国人が十分に理解できる言語による相談体制は、通訳人を職員として雇い入れることまでは必要なく、必要なときに委託するなどして確保できれば足りるとされています。定期的な面談は、3か月に1回以上の頻度で行うものです(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

自社で支援するか登録支援機関に委託するかの判断材料は、「特定技能の支援計画とは」と「登録支援機関とは」で詳しく解説しています。

4. 支援計画の基準(1号を受け入れる場合)

1号の外国人を受け入れる企業は、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、在留資格の申請の際に、ほかの申請書類と一緒に提出します。支援計画には、省令で定められた10項目の支援(事前ガイダンス、出入国する際の送迎、住居確保・生活に必要な契約支援、生活オリエンテーション、公的手続等への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、転職支援、定期的な面談・行政機関への通報)の内容や、支援責任者・支援担当者の氏名などを記載します(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」、「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」)。

支援計画が満たすべき基準として、主に次の点が定められています(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

  • 日本語と、外国人が十分に理解できる言語で作成し、外国人に写しを交付すること
  • 支援の内容が、地方公共団体が実施する共生施策を踏まえ、適切に実施できるものであること
  • 入国前の情報提供(事前ガイダンス)は、対面またはテレビ電話装置などで行うこと
  • 情報提供や相談・苦情への対応などを、外国人が十分に理解できる言語で行うこと
  • 支援の一部を他者に委託する場合は、委託の範囲を明示すること

5. 分野別の協議会への加入

特定技能外国人を受け入れる企業は、在留資格の申請の前に、必ず分野ごとの協議会の構成員になる必要があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q14)。協議会は分野を所管する省庁が組織しているため、構成員であることを示す書類は、各協議会のホームページや分野所管省庁で確認します(出典:同Q&A Q39)。加入の手続きも分野ごとに異なるため、採用活動と並行して早めに確認しておくと安心です。

建設分野と工業製品製造業分野では、協議会に加えて、分野所管省庁の登録を受けた法人(登録法人)に加入する必要があります。登録法人が協議会の構成員になります(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

また、宿泊分野や自動車整備分野のように、支援計画の全部を登録支援機関に委託する場合に、委託先の登録支援機関も協議会の構成員であることを求めている分野もあります(出典:宿泊分野・自動車整備分野の上乗せ基準の告示)。

6. 市区町村への協力確認書の提出

企業は、地方公共団体から共生施策への協力を求められた場合に必要な協力をする旨の「協力確認書」を、次のいずれかの時点で、市区町村に提出する必要があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度における地域の共生施策に関する連携」)。

  • 初めて受け入れる場合:外国人と雇用契約を結んだ後、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う前
  • すでに受け入れている場合:この仕組みが始まった2025年4月1日以降、初めてその外国人の在留資格変更許可申請または在留期間更新許可申請を行う前

提出先は、外国人が働く事業所の所在地と、住居地の市区町村のそれぞれです(同じ市区町村なら1通)。一度提出すれば、同じ事業所で働く別の外国人を受け入れるときに出し直す必要はありませんが、事業所の所在地や住居地、担当者の連絡先などが変わった場合は、改めて提出します。協力確認書には、登録支援機関ではなく、受入れ企業の名称や担当者の連絡先を記載します。申請書には提出した年月日と提出先を記載すれば足り、写しを入管に提出する必要はありません(出典:同上)。

分野ごとの上乗せ基準(代表例)

全分野共通の基準に加えて、分野の特有の事情から、告示で独自の基準が定められている分野があります。制度概要では、上乗せ基準の例として「事業者の範囲の限定(許認可等)」「受入事業実施法人への加入等」「受入れ機関の受入人数上限」などが挙げられています(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。分野によっては告示で基準を定めていない場合もあり、定めがある場合も内容は分野ごとに異なります(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

代表的な例は次のとおりです。

分野 上乗せ基準の例
介護 介護福祉士国家試験の受験資格の認定で実務経験として認められる介護等の業務を行わせる事業所であること。1号の人数は、事業所単位で、日本人等の常勤の介護職員の総数を超えないこと
建設 1号の受入れ計画(建設特定技能受入計画)について、国土交通大臣の認定を受けていること。認定には、建設業法の許可、建設キャリアアップシステムへの登録、登録法人またはその構成団体への所属などが求められる。1号の人数は、常勤の職員(技能実習生などを除く)の総数を超えないこと
宿泊 旅館業法の旅館・ホテル営業の許可を受けていること。風俗営業法に規定する一定の施設で就労させないこと、接待を行わせないこと、そのための必要な措置を講じていること
自動車整備 道路運送車両法に基づき、地方運輸局長の認証を受けた事業場を有すること。支援を全部委託する場合は、委託先の登録支援機関に自動車整備士などの資格者が置かれていること

出典:運用要領別冊(介護分野)、建設分野・宿泊分野・自動車整備分野の上乗せ基準の告示

受入れ人数については、原則として企業ごとの上限はありません。ただし、例えば介護分野と建設分野では、上の表のとおり人数の上限が定められています(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q34)。

また、特定技能で派遣の雇用形態による受入れが認められているのは、農業分野と漁業分野だけです。この2分野で派遣を行う場合は、派遣元に通常の要件に加えた要件があり、派遣先にも法令遵守などの要件があります(出典:同Q&A Q5・Q32)。

建設分野と自動車整備分野では、上乗せ基準の告示の改正がすでに公布されており、2027年4月1日に施行されます。改正後の分野別の運用要領は、追って掲載するとされています(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度の建設分野に特有の事情に鑑みて定める基準の改正について」、「特定技能制度の自動車整備分野に特有の事情に鑑みて定める基準の改正について」)。

分野ごとの詳しい要件は、「特定技能「介護」採用ガイド」「特定技能「宿泊」採用ガイド」「特定技能「自動車整備」の受入企業要件」で解説しています。そのほかの分野の所管省庁や業務区分は「特定技能の対象19分野一覧」をご覧ください。

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2027年4月1日から、1号の支援体制の要件が変わる

1号の外国人への支援体制の要件は、省令の改正により、2027年4月1日から次のように変わります(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)」、「特定技能制度に関するQ&A」Q97)。

  1. 支援責任者と支援担当者を、支援を行う事業所(登録支援機関の場合は支援業務を行う事務所)ごとに、それぞれ常勤の役員または職員の中から1名以上選任する(支援責任者が支援担当者を兼ねることは可)
  2. 支援業務に従事できる人を、支援責任者と支援担当者に限定する
  3. 支援責任者に、支援能力向上のための養成講習(入管法や労働関係法令など)の受講を義務付ける
  4. 支援担当者の数が、登録支援機関が委託を受けている企業の数を10で割った数を超え、かつ、支援している1号の外国人の数を50で割った数を超えていることとする(支援責任者が支援担当者を兼ねることは可)

出入国在留管理庁の資料では、1号の外国人120人を支援する場合は3人の支援担当者が必要になる例が示されています(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点」)。

現行の運用要領では、受入れ企業の支援責任者は常勤であることを問わないとされています(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。自社で支援している企業は、改正後は事業所ごとに常勤の支援責任者・支援担当者が必要になる点に注意が必要です。

養成講習については、2027年4月1日以降も、当分の間は講習を修了していなくても差し支えないとされています。経過措置が終わる時期は、改めて出入国在留管理庁のホームページで知らせるとされています。また、支援責任者は3年ごとに養成講習を修了する必要があるとされており、登録支援機関に委託する場合は、登録支援機関で選任された支援責任者も修了義務の対象です(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について」、「特定技能制度における養成講習について」)。

登録支援機関については、施行日前に登録を受けている機関で、2027年7月31日までに登録の期間が満了する場合は、施行日前に更新を申請したときに限り、改正前の要件で更新を受けられるとされています(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について」)。一方、自社で支援している受入れ企業についての経過措置は、改正の告知ページと「特定技能制度に関するQ&A」Q97には示されていません。自社で支援を続ける場合は、施行日までに体制を整えておくと安心です。

採用前チェック

採用活動を始める前に、自社が要件を満たしているかを次の表で確認しておくと、申請の段階で慌てずに済みます。

チェック項目 確認のポイント
対象分野・業務区分 任せたい業務が、特定技能の対象分野・業務区分に当たるか(分野別運用方針の「従事する業務」で確認し、詳細は分野所管省庁に問い合わせる)
分野の上乗せ基準 許認可・認証、登録法人への加入、人数の上限など、分野ごとの基準を満たしているか
雇用形態 直接雇用か(派遣は農業・漁業のみ)。フルタイムで雇用するか
報酬 同じ業務の日本人と同等以上か。賃金規程や比較対象の日本人を説明できるか
法令の遵守 労働保険・社会保険・税に未納がないか。加入が必要な社会保険に加入しているか
離職者・行方不明者 過去1年以内に、同種業務の労働者の非自発的な離職や、企業の責めによる外国人の行方不明者がないか
欠格事由 過去5年以内に出入国・労働法令の違反がないか。役員に欠格事由に当たる人がいないか
財務 直近の期末に債務超過がないか(ある場合は第三者の評価書面を用意できるか)
支援の方法(1号) 自社で支援するか、登録支援機関に全部委託するか。自社で行う場合、受入れ実績・支援責任者・支援担当者・対応言語の体制があるか
支援の費用 義務的支援の費用(委託費を含む)を外国人に負担させない前提で予算を組んでいるか
協議会 申請までに分野別協議会の構成員になれるか(委託先の登録支援機関の加入が必要な分野もある)
協力確認書 事業所と住居地の市区町村に、申請前に提出できるか
2027年4月以降の体制 自社支援の場合、事業所ごとに常勤の支援責任者・支援担当者を置けるか

出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「特定技能制度に関するQ&A」Q5・Q19・Q30・Q43

あわせて確認:外国人本人の基準

企業の要件とは別に、採用する外国人本人にも基準があります。18歳以上であること、健康状態が良好であること、保証金の徴収などをされていないこと、1号の場合は必要な技能と日本語能力が試験などで証明されていること(技能実習2号を良好に修了し、業務との関連性が認められる場合は免除)、1号での在留期間が通算5年(相当の理由がある場合は6年)に達していないことなどです(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

寮費や食費など、外国人が定期に負担する費用がある場合は、本人がその内容を十分に理解して合意しており、費用の額が実費相当額などの適正な額で、明細書などの書面が示されている必要があります(出典:同上)。

採用から申請までの流れは「特定技能外国人の採用フロー」で、制度の全体像は「特定技能とは」で解説しています。

受け入れた後も、基準を満たし続ける必要がある

これらの基準は、申請のときだけ満たせばよいものではありません。受け入れている間に基準に適合しなくなった場合は、出入国在留管理庁に「基準不適合に係る届出」を行う必要があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

また、年に1回、4月1日から翌年3月31日までの受入れ・活動・支援の状況を、翌年5月31日(土日祝日の場合は翌開庁日)までに届け出る必要があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q55)。雇用契約の確実な履行、支援の適切な実施、届出を怠ると、外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導や改善命令などを受けることがあります(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

よくある質問

特定技能外国人を受け入れるために、企業として認定を受ける必要はありますか?

認定を受ける必要はありません。外国人本人の在留資格の申請の審査で、協議会への加入を含めて、企業が所定の基準を満たしているかが審査されます(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q27)。

社会保険に加入していなくても受け入れられますか?

法令上、社会保険に加入する必要がある企業が未加入の場合は、基準を満たさないため受け入れることができません(出典:同Q&A Q43)。

同じ業務をしている日本人がいない場合、報酬はどう決めればよいですか?

賃金規程がある場合は賃金規程に基づいて判断されます。賃金規程がなく、近い業務の日本人がいる場合は、役職や責任の程度、年齢や経験年数を踏まえて報酬差が合理的かどうかなどで判断されます。賃金規程も比較対象の日本人もいない場合は、近隣の同業他社で同等の業務に従事する同程度の経験の特定技能外国人の報酬額と比較されます(出典:同Q&A Q30)。

支援を登録支援機関に全部委託すれば、企業側の要件はなくなりますか?

なくなりません。全部を委託した場合に満たすものとみなされるのは、支援体制の基準です。雇用契約の基準、企業自体の基準、協議会への加入、協力確認書の提出は、企業が満たす必要があります。支援の費用を外国人に負担させないことも、企業自体の基準の一つです(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。

過去に技能実習生の失踪があった場合、受け入れられませんか?

雇用契約を結ぶ日の前1年以内とその後に、企業の責めに帰すべき事由で行方不明者を出していないことが基準です。「責めに帰すべき事由」とは、賃金を適正に支払っていない場合など、法令違反や基準に適合しない行為が行われていた期間に行方不明となった場合をいい、その場合は1人でも基準に適合しません。技能実習生の行方不明者も対象に含まれます(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。

まとめ

特定技能外国人を受け入れる企業は、全分野共通の基準(雇用契約・企業自体・支援体制・支援計画)を満たし、申請の前に分野別の協議会に加入し、市区町村に協力確認書を提出する必要があります。さらに、分野によっては、許認可や受入れ人数の上限などの上乗せ基準があります。

支援を登録支援機関に全部委託しても、雇用契約や企業自体の基準は企業が満たし続ける必要があります。2027年4月からは1号の支援体制の要件も変わるため、採用前のチェックとあわせて、出入国在留管理庁と分野所管省庁の最新情報を確認しながら準備を進めましょう。