特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、10項目の支援を計画し、実施する義務がある
特定技能1号の外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、外国人が仕事と生活を安定して続けられるよう、「1号特定技能外国人支援計画」(以下、支援計画)を作成し、その計画に基づいて支援を行わなければなりません。支援計画は、在留資格の申請のときに、ほかの申請書類と一緒に提出します(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」令和8年9月29日更新)。
押さえておきたいポイントは次の4つです。
- 支援の内容は、省令で定められた10項目(義務的支援)です。
- 支援は自社で行うことも、全部または一部を外部に委託することもできます。全部を登録支援機関に委託すれば、支援体制の基準を満たすものとみなされます。
- 義務的支援にかかる費用を、外国人本人に負担させることはできません。
- 特定技能2号には、支援の義務はありません。
支援計画の基本
支援計画に書くこと
支援計画には、主に次の内容を記載します(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
- 10項目の支援の実施内容・方法など
- 支援責任者と支援担当者の氏名・役職など
- 支援の実施を他の者に委託する場合は、委託先の氏名・住所など
- 登録支援機関に委託する場合は、その登録支援機関
支援は外国人が十分に理解できる言語で行う
支援は、外国人が十分に理解できる言語で行う必要があります。ここでいう言語は母国語に限りませんが、外国人が内容を余すことなく理解できる言語である必要があります(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。
費用は外国人に負担させない
義務的支援にかかる費用は、直接・間接を問わず、外国人本人に負担させることはできません。登録支援機関に委託する場合の委託費用も、この「支援に要する費用」に含まれます。ただし、住宅の家賃などの実費を、必要な範囲で本人に負担してもらうことは妨げられません(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。
義務的支援10項目の内容
出入国在留管理庁の資料と運用要領をもとに、10項目の内容と、運用要領で示されている目安をまとめます。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 1. 事前ガイダンス | 申請の前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金の徴収の有無などを、対面やテレビ電話などで説明する |
| 2. 出入国する際の送迎 | 入国時に空港などから事業所・住居へ送迎する。帰国時は空港の保安検査場まで送迎・同行する |
| 3. 住居確保・生活に必要な契約の支援 | 連帯保証人になる、社宅を提供するなど。銀行口座・携帯電話・ライフラインの契約を案内し、手続を補助する |
| 4. 生活オリエンテーション | 日本のルールやマナー、公共機関の利用方法・連絡先、災害時の対応などを説明する |
| 5. 公的手続等への同行 | 必要に応じて、住居地・社会保障・税などの手続に同行し、書類作成を補助する |
| 6. 日本語学習の機会の提供 | 日本語教室などの入学案内や、日本語学習教材の情報提供などを行う |
| 7. 相談・苦情への対応 | 職場や生活上の相談・苦情に、外国人が十分に理解できる言語で対応し、助言・指導などを行う |
| 8. 日本人との交流促進 | 自治会などの地域住民との交流の場や、地域のお祭りなどの行事を案内し、参加を補助する |
| 9. 転職支援(人員整理等の場合) | 受入れ側の都合で雇用契約を解除する場合に、転職先探しの手伝いや推薦状の作成、求職活動のための有給休暇の付与などを行う |
| 10. 定期的な面談・行政機関への通報 | 支援責任者などが外国人とその上司などと3か月に1回以上面談し、労働基準法違反などがあれば通報する |
出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」、「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
運用要領で示されている主な目安
10項目のうちいくつかは、運用要領で具体的な目安が示されています(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。
- 事前ガイダンス:外国人が十分に理解できるまで行う必要があり、3時間程度行うことが必要と考えられるとされています。技能実習生などを同じ企業で引き続き雇用する場合でも、1時間に満たないときは適切に行ったとはいえません。
- 住居:居室の広さは、1人当たり7.5㎡以上が求められます。ルームシェアの場合は、居室全体の面積を人数で割った面積が7.5㎡以上である必要があります。
- 生活オリエンテーション:少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられるとされています。技能実習2号の良好修了者や留学生などを同じ企業で引き続き雇用し、生活環境に変化がない場合でも、4時間に満たないときは適切に行ったとはいえません。
- 相談・苦情への対応:外国人の勤務形態に合わせて、1週間あたり勤務日に3日以上、休日に1日以上対応し、就業時間外(夜間)なども対応できることが求められます。
- 定期的な面談:3か月に1回以上、支援責任者または支援担当者が、外国人本人と、その監督をする立場にある人のそれぞれと面談します。
なお、外国人が転職などで別の企業の1号に変わった場合も、事前ガイダンスと生活オリエンテーションは改めて実施する必要があります。
自社で支援するか、登録支援機関に委託するか
自社で支援する場合の基準
自社で支援を行う場合は、支援を適正に行える体制があることが求められます。体制の基準として、次のいずれかに該当する必要があります(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」令和8年10月)。
- 過去2年間に、中長期在留者(就労が認められる在留資格の外国人)の受入れや管理を適正に行った実績があり、役員または職員の中から支援責任者と、事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること
- 役員または職員で、過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験がある人の中から、支援責任者と支援担当者を選任していること
- これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められること
あわせて、外国人が十分に理解できる言語での情報提供・相談対応や、定期的な面談を行える体制も必要です。
登録支援機関に委託する場合
支援計画の実施は、全部または一部を委託できます。全部を登録支援機関に委託した場合は、上の「支援体制がある」という基準を満たすものとみなされます。登録支援機関は、委託された支援業務をさらに別の事業者に委託することはできません(通訳人などを補助的に使うことは可能です)(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
全部を委託する契約を結ぶときは、登録支援機関は、支援に要する費用の額と内訳を企業に明示することが求められます(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。
2027年4月からの改正に注意
1号の外国人への支援体制に関する要件が、2027年4月1日から改正されます。主な改正点は次のとおりです(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点」)。
- 支援責任者と支援担当者を、支援を行う事業所(登録支援機関の場合は事務所)ごとに、常勤の役員または職員の中からそれぞれ1人以上選任する(支援責任者が支援担当者を兼ねることは可能)
- 支援業務に従事できる人を、支援責任者と支援担当者に限定する
- 支援責任者に、入管法や労働関係法令などの養成講習の受講を義務付ける
- 登録支援機関が委託を受けられる企業の数を、支援担当者1人当たり10機関未満とする
- 支援担当者が支援できる1号の外国人の数を、支援担当者1人当たり50人未満とする(例:120人を支援する場合は支援担当者が3人必要)
現行の運用要領では、たとえば登録支援機関の支援責任者は常勤であることを問わないとされていますが(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)、改正後は常勤の役員・職員から選任する必要があります。自社で支援している企業も、委託している企業も、2027年4月以降の体制を早めに確認しておく必要があります。
よくある質問
支援計画はいつ作成すればよいですか?
在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請などのときに、ほかの申請書類と一緒に提出します。そのため、申請の前に作成しておく必要があります(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
支援の費用を、外国人の給与から差し引いてもよいですか?
できません。義務的支援にかかる費用は、直接・間接を問わず外国人に負担させることはできません。登録支援機関への委託費用も含まれます。家賃などの実費を、必要な範囲で本人に負担してもらうことは可能です(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。
支援の一部だけを登録支援機関に委託できますか?
できます。ただし、支援体制の基準を満たしたものとみなされるのは、支援計画の全部を登録支援機関に委託した場合です。一部だけを委託する場合は、自社で支援体制の基準を満たす必要があります(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
特定技能2号の外国人にも支援は必要ですか?
必要ありません。支援の義務があるのは1号の外国人です(出典:同上)。
技能実習生を引き続き雇用する場合も、事前ガイダンスや生活オリエンテーションは必要ですか?
必要です。生活環境に変化がない場合などは短い時間で終わることも想定されますが、事前ガイダンスは1時間、生活オリエンテーションは4時間に満たない場合、適切に行ったとはいえないとされています(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。
まとめ
特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、10項目の義務的支援を支援計画にまとめて申請時に提出し、計画どおりに実施する必要があります。支援は外国人が十分に理解できる言語で行い、その費用を本人に負担させてはいけません。
自社で支援する場合は体制の基準を満たす必要があり、全部を登録支援機関に委託すればその基準を満たすものとみなされます。2027年4月からは支援体制の要件が厳しくなるため、受入れ人数の見通しとあわせて、早めに体制を見直しておきましょう。
