登録支援機関は、受入れ企業から委託を受けて「1号の支援の全部」を行う機関
登録支援機関とは、特定技能1号の外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)から委託を受けて、支援計画に基づく支援の全部を行う機関です。登録支援機関になるには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があり、登録された機関は「登録支援機関登録簿」として出入国在留管理庁のホームページに掲載されます(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」令和8年9月29日更新)。
押さえておきたいポイントは次の4つです。
- 受入れ企業が支援計画の全部を登録支援機関に委託すると、「外国人を支援する体制がある」という基準を満たすものとみなされます。
- 登録を受けるには、支援責任者・支援担当者の選任や、外国人の受入れ・相談の実績など、法令で定められた要件を満たす必要があります。
- 登録の有効期間は5年で、続けるには更新が必要です。
- 2027年4月1日から、支援体制の要件が厳しくなります。
登録支援機関の役割
支援計画の全部を実施する
特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、事前ガイダンスや生活オリエンテーション、定期的な面談など、10項目の支援(義務的支援)を行う義務があります。企業はこの支援を自社で行うこともできますが、全部または一部を外部に委託することもできます。
登録支援機関は、企業との支援委託契約に基づいて、支援計画の全部を実施します。支援の一部だけを行うものとして登録を受けることはできません。また、委託された支援業務を、さらに別の事業者に委託すること(再委託)もできません。ただし、通訳人などを補助的に使うことは差し支えありません(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」令和8年10月)。
出入国在留管理庁への届出・報告
登録支援機関は、出入国在留管理庁長官に対して、定期・随時の届出を行う必要があります。たとえば、登録した内容の変更や、支援業務の休止・廃止の届出があります。企業が支援計画の全部を委託している場合、毎年の定期届出は、企業と登録支援機関の連名で行います。また、支援の実施が困難になったときなどには、登録支援機関から報告を行うこととされています(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
登録を受けるための要件
登録支援機関になろうとする者が、法令で定められた「登録拒否事由」のいずれかに該当すると、登録は拒否されます。拒否事由に該当しなければ、法人だけでなく個人事業主でも登録を受けられます(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。
運用要領では、登録拒否事由が次の13の類型に整理されています。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 1. 刑罰 | 関係法律による刑罰を受け、一定期間(5年)を経過していない |
| 2. 登録の取消し | 登録を取り消されたことによるもの(取り消された法人の役員だった人を含む) |
| 3. 不正行為 | 出入国や労働関係の法令に関して不正行為を行った |
| 4. 暴力団排除 | 暴力団員などに該当する |
| 5. 行為能力・役員の適格性 | 申請者や役員が一定の要件に該当する |
| 6. 行方不明者の発生 | 過去1年間に、自らの責めに帰すべき事由で外国人の行方不明者を発生させた |
| 7. 支援責任者・支援担当者 | 支援責任者と、事務所ごとに1名以上の支援担当者を選任していない |
| 8. 受入れ実績など | 外国人の受入れ実績や相談業務の経験がない(下記参照) |
| 9. 情報提供・相談の体制 | 外国人が十分に理解できる言語で情報提供・相談対応をする体制や、定期的な面談の体制がない |
| 10. 文書の作成・保存 | 支援の実施状況の文書を作成し、雇用契約の終了日から1年以上保存することとしていない |
| 11. 支援責任者の中立性 | 企業の役員の配偶者・2親等内の親族や、過去5年間にその企業の役職員だった人などが、その企業の支援責任者になろうとしている |
| 12. 費用の負担 | 支援にかかる費用を、外国人に直接・間接に負担させることとしている |
| 13. 費用の明示 | 支援委託契約を結ぶときに、支援に要する費用の額や内訳を明示しない |
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年10月)
8の「受入れ実績など」については、次のいずれかに該当する必要があります(出典:同上)。
- 過去2年間に、中長期在留者(就労が認められる在留資格の外国人)の受入れや管理を適正に行った実績がある
- 過去2年間に、報酬を得る目的で、日本に在留する外国人に関する各種の相談業務に従事した経験がある
- 選任した支援責任者と支援担当者が、過去5年間に2年以上、中長期在留者の生活相談業務に従事した経験がある
- これらと同程度に支援業務を適正に実施できると出入国在留管理庁長官が認める
登録の手続き
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請先 | 本店(主たる事務所)の所在地を管轄する地方出入国在留管理局 |
| 申請方法 | 窓口または郵送(オンライン申請は不可) |
| 手数料 | 新規登録 28,400円、更新 11,100円 |
| 審査期間の目安 | 約2か月(支援業務を始める予定日の2か月ほど前の申請を推奨) |
| 有効期間 | 5年(続けるには更新申請が必要) |
| 更新申請の期間 | 有効期間が満了する日の6か月前の月の初日から、4か月前の月の末日まで |
出典:出入国在留管理庁「登録支援機関の登録申請」、「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
2027年4月からの改正
支援体制に関する要件は、2027年4月1日から改正されます。登録支援機関に関係する主な改正点は次のとおりです(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点」)。
- 支援責任者と支援担当者を、支援業務を行う事務所ごとに、常勤の役員または職員の中からそれぞれ1人以上選任する(支援責任者が支援担当者を兼ねることは可能)
- 支援業務に従事できる人を、支援責任者と支援担当者に限定する
- 支援責任者に、入管法や労働関係法令などの養成講習の受講を義務付ける
- 委託を受けられる企業の数を、支援担当者1人当たり10機関未満とする(例:25機関から委託を受ける場合は支援担当者が3人必要)
- 支援できる1号の外国人の数を、支援担当者1人当たり50人未満とする
登録支援機関に依頼できないこと:在留資格の申請書類の作成
在留資格の申請書類など、官公署に提出する書類を、他人の依頼を受けて報酬を得て作成することを業とすることは、行政書士法で行政書士・行政書士法人の業務とされています。2026年1月1日に施行された改正行政書士法では、行政書士・行政書士法人でない者は、「いかなる名目によるかを問わず」報酬を得てこの業務を行うことができないことが、条文上明確にされました。総務省は、「手数料」や「コンサルタント料」などどのような名目であっても、対価を受け取って、業として官公署に提出する書類を作成することは違法であるという解釈を、条文に明示したものと説明しています(出典:総務省「行政書士法の一部を改正する法律の公布について(通知)」令和7年6月13日)。
そのため、在留資格の申請書類の作成を依頼する場合は、行政書士などの専門家に依頼する必要があります。支援委託の契約内容を確認するときは、支援業務の範囲と、書類作成の扱いを分けて確認しておきましょう。
企業が登録支援機関を選ぶときの確認ポイント
制度上の要件から、委託先を選ぶときに確認しておきたい点をまとめます。
- 登録簿に掲載されているか:登録支援機関登録簿は出入国在留管理庁のホームページで公表されており、対応言語や連絡先などを確認できます(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q35)。
- 費用の額と内訳が明示されているか:登録支援機関は、支援の全部を受託する契約を結ぶときに、支援に要する費用の額と内訳を明示することが求められます。
- 外国人が理解できる言語で対応できるか:相談・苦情への対応は、外国人の勤務形態に合わせて、1週間あたり勤務日に3日以上、休日に1日以上対応できることが求められています(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。
- 2027年4月以降の体制があるか:改正後は、支援担当者1人当たりの委託企業数・支援人数に上限ができます。受入れ人数が増える見込みがある場合は、委託先の体制も確認しておきましょう。
よくある質問
個人でも登録支援機関になれますか?
なれます。登録拒否事由に該当しなければ、法人だけでなく個人事業主でも登録を受けられます。法人の定款や登記の目的に、特定技能外国人の支援を行う旨の記載があることは、登録の要件ではありません(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。
支援の一部だけを行う登録支援機関はありますか?
ありません。登録支援機関は、支援計画の全部を実施できる体制が必要で、一部だけを行うものとして登録を受けることはできません。なお、企業側が支援の一部だけを外部に委託することは可能ですが、その場合は企業自身が支援体制の基準を満たす必要があります(出典:同上、出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
登録支援機関への委託費用を、外国人に負担させてもよいですか?
できません。支援に要する費用には登録支援機関への委託費用も含まれ、外国人に直接・間接に負担させることはできません(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。
登録支援機関の登録に期限はありますか?
登録の有効期間は5年です。有効期間が満了する日の6か月前の月の初日から、4か月前の月の末日までに更新申請を行う必要があります(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」)。
特定技能2号の外国人にも、登録支援機関の支援は必要ですか?
必要ありません。支援の義務があるのは1号の外国人です(出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。
まとめ
登録支援機関は、受入れ企業から委託を受けて、特定技能1号の外国人への支援の全部を行う機関です。登録には、支援責任者・支援担当者の選任や受入れ実績、外国人が理解できる言語での相談体制、支援の中立性、費用を外国人に負担させないことなど、法令で定められた要件を満たす必要があります。
2027年4月からは支援体制の要件が厳しくなります。委託を検討している企業は、費用の内訳や対応言語に加えて、改正後の体制も確認したうえで委託先を選びましょう。
